【取材レポート第2弾】「女性が自由に豊かに生きられる社会へ」OMOYA Inc.代表取締役社長 猪熊真理子さん
今日は、OMOYA Inc.代表取締役社長の猪熊真理子さん取材レポート第2弾。
そんな今日は、「女性が自由に豊かに生きられる社会へ」をコンセプトに至るまで、そして学生時代の経験から得られたモノについてお届けします。
「女性が自由に豊かに生きられる社会へ」をコンセプトに
WI:大学時代に出会った経営者で、自分の価値観を変えた方はいらっしゃいますか?
猪熊さん:この人、という特定の人はいないですね。ですが沢山の経営者との出会いを頂き、「人間性の豊かさとお金は比例しない」ということに気付くことができました。中には尊敬できるような人間性をお持ちの人もいたのですが、自分はちょっとこういう人にはなりたくないなと思う人もいました。その経験から人の豊かさというのはお金の有無ではなくて、人間性を高めて人として豊かになることを目指さないと、幸せにはなれないと思いましたね。
WI:女性をテーマにすると決めたのはホットペッパービューティやゼクシィで働いた経験がもとになっているのですか?
猪熊さん:働く以前に大学生の頃から「女性が自由に豊かに生きられる社会へ」というテーマを自分のコンセプトにしようと決めていて、ブログでこのテーマに沿って記事を書いたりもしていました。起業しようと考えていたのもこのためだったので、入社前の配属面談のときに
「将来女性が自由で豊かに生きられる社会を創るための事業で起業しようと思っています。人は何に価値を感じてお金を払うのか、経済はどうやって回っているのか、ビジネスの仕組みを学びたいと思ってリクルートに入ったので、女性消費のマーケットで、営業職でなくMP(Media Producer)と呼ばれる企画職に就きたい」
と最初から話していました。幸運にも希望が通ったのでMPとして勉強をすることが出来ました。
写真:リクルート時代の猪熊さん
WI:リクルート時代、企画のアイデア出しはどのようにされていましたか?
猪熊さん:リクルート時代は常に「お題」がある状態でした。経営戦略からCMに至るまで、事業としてのミッションが決まっていました。例えば、当時は美容室やネイルサロンの予約は電話がメジャーな時代でした。
電話予約から「ネット予約のマーケットを創出する」ことがミッションで、CMを制作するなら、誰を起用してどんなストーリーにするかという戦略を考えるのが仕事です。0から1のアイデアをたくさん考えるだけではなくて、ミッションに向けてどんな戦略やどんな方法を取るのが最適かを色んな角度から考えなくてはいけないんですよね。
例えば、マーケットにいる消費者を想像する時にも、世の中には美意識がとても高い人もいれば、そうでない人、子育てに忙しく美容のことを考える暇のない人もいます。このように多様な女性たちに想いを巡らせて、その全員をもれなく幸せにすることはできないんです。
TVCMというのは大勢の方が見るものなので、CMを流しても全く興味を持ってもらえない人もいるかもしれないけれども、全体で考えたときにマーケットの幸福の量が最大化するように戦略、ストーリー、セリフ、価値の伝え方を決定していました。
卒業後に感じた大学時代に得たもの
WI:ではそこで学ばれた心理学が生かされたということでしょうか?
猪熊真理子さん:心理学というよりも「思いやり」じゃないかなと思っています。
よく小学校の道徳で「相手の立場に立って考えなさい」と言われますよね(笑)でも実際は忘れてしまったり、出来なかったりすることも多い。ベースはシンプルに思いやりでしかないと思っています。「相手の立場に立って考える」というのは、相手がどう感じているのかを想像して、それを自分のベストを尽くしながら相手の役に立とうとすることなので基本は思いやりです
心理学で学んだことが役に立つ部分はあるけれど、それが全てではない。これは異なる学科に居ても同じようなことが言えると思います。
何を学ぶのではなく、何の目的のためにどう使いたいのか。部分的には使えるけれど、それはみんな一緒。英語を勉強していても、コミュニケーションの勉強をしていても同じです。
WI:心理学やサークル、マーケティングのアルバイト等の東女生活(学生生活)の中で現在の猪熊さんを形作っているものを一つ上げるとしたら何でしょうか?
猪熊さん:リベラルアーツ教育です。それも学生時代は分からなくて、卒業した後に気付きました。東女は「専門性を持つ教養人」として21世紀の人類・社会に貢献する女性を育てるというグランドビジョンがあります。
例えば他大学の場合臨床心理学専攻だと臨床心理学しかやりません。一方で、東女の場合は2年間基礎教養で4心理学(発達、社会、認知、臨床)をやります。初めにそれらを全般的に学び、3,4年ではそこから自分が特化したいものを決めて深堀していきます。つまり、1,2年生で広く浅く、3,4年で専門性を身に付けることが出来ます。
卒業してからそのことを感じた事が沢山あります。プロフェッショナルとしてきちんと深みがあり、専門的にも分かるその深さで考えられる。また、基礎教養のおかげで幅広い視野で社会を見る考え方がとても役に立っています。在学中はなかなかその本当の意味に気づけなかったですね(笑)
写真:東女時代の猪熊さん
「学生時代は失敗してもいい」失敗から得たもの
WI:何か一つではなくすべての経験が生かされているということですか?
猪熊さん:東女が育てようとしている女性像に強く影響を受けました。教養を持ち女性としてどう生きるか働くかや、キリスト教を通じてグローバルな価値観に触れて視野の広がりを感じました。
WI:東女は似たような学生が多く、私は周りに流されてしまいがちです。そこで猪熊さんらしさを保つ秘訣はありますか?
猪熊さん:学校以外のコミュニティやエリアにもどんどん出て行けばいいんじゃないかな(笑)学校で学ぶことも大事だけれど学校以外の時間で様々な場所やコミュニティに出ていくべきだと思います。東京はイベントやコミュニティが多いので自分でテーマをもって探せば探しようはいくらでもあります。ないとしたら単純にリサーチ不足かもしれないですよね。
問題は、「どんなテーマを探求したいか」のテーマを決めること。いきなり決まるものではないですよね。だからこそやりたいことを何でもやってみる。私自身も好奇心のアンテナがたくさんあって、何か一つだけではなく全部やろうと思っていました。
読者モデルや、心理学、バレエなどの興味があったので全部やりましたよ。それ以外のふわっと湧いてくる興味も全部やると決めていました。その中で続かないものや、気持ちが冷めてしまうもの、長く続けられるものがあります。熱しやすく冷めやすい私自身が唯一飽きずに思い続けられていることは、「女性を支援したい」「女性が自由に生きられる社会を作りたい」という思いです。
そうは言っても最初からそうだったわけではなく実際に試してみて、モチベーションの火が付き続けたから一生涯続けていこうと思えました。それは事前に分かっていたことではなくて、後から分かったことなんですよね。だから、失敗しながら試していく事が大切です。自分しかできないことでないと、モチベーションが下がっていきます。考え方としては「私じゃないとできないことって何か」で決めると良いと思います。学生時代は失敗したっていいんだから(笑)
最終回第3弾は「言語化できるだけが自分らしく生きているってことじゃない」というテーマでお届けします!お楽しみに!
猪熊真理子氏:OMOYA Inc. 代表取締役社長/ 女子未来大学ファウンダー
(一社)at Will Work 理事
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