【取材レポート第2弾】「次の成功につなげるサイクルを作る」株式会社タスカジ代表取締役社長 和田幸子さん
株式会社タスカジ代表取締役社長 和田幸子さんの取材レポート。
今回は続編第2弾(起業編)。
学生時代を乗り越えられた和田さんのタスカジ起業にあたっての貴重なお話が盛り沢山です!
写真:タスカジを起業した頃の和田さん
和田幸子さんプロフィール:1999年横浜国立大学経営学部を卒業し富士通に入社。システムエンジニア、WEBマーケ、新規事業立ち上げに携わる。2005年慶應義塾大学大学院にてMBA取得。2008年、第一子を出産後、フルタイム勤務で復職。2013年10月、自身の課題でもあった共働き家庭の「新しいライフスタイル」実現に必要な社会インフラを「ITを活用してつくる」ため、富士通を退職。同年11月、ブランニュウスタイル株式会社(旧社名、現・株式会社タスカジ)を設立。2014年7月、家事代行サービスマッチングプラットフォーム「タスカジ」をオープン。サービスは、政府やメディア等にも注目され、顧客数を順調に伸ばす(昨対比1.5倍)。2017年には日経BP社日経DUAL家事代行サービス企業ランキング1位を獲得。現在は、地方自治体や企業などとの新しい取り組みや、教育機関をはじめとした講演活動など、活動の幅を広げ、「核家族から拡大家族へ」を合言葉に日々奮闘中。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018「働き方改革サポート賞」受賞。
Women's Innovation(以下WI):社内の制度を使って経営のビジネススクールに通われていたそうですが、起業のためですか?
和田幸子さん(以下和田さん):はい。起業や新規事業立ち上げをしたいと考えていたので、その勉強のために行きました。ビジネススクールに通っている時に、最初の起業をしています。
WI:積極的ではなかった学生時代から最初の起業に至るまで、心境の変化を教えてください。
和田さん:学生時代のアルバイトでは、チームでの作業など自分の能力を誰かと比較する機会があまりなく、自分にはどんな能力があるのか分かっていませんでした。
当時は、世の中に活躍している女性は今ほど多くなくて、「女性だから出来ない」という発言ですら容認されていたので、女性だから自分も出来ないかもという意識がありました。
そんな社会の無言の圧力に晒されながらも、やりたかったITと会計を組み合わせてなんとか形にしてみたら、意外と自分でもできることがわかりました。そのとき、出来る、出来ないを分ける要素は性別ではなくて、やりたいか、やりたくないかという気持ちにあると気づいて自信を持てました。
私は自由に対しての願望が強く、そのために成長したいという思いを元々強く持っていました。だから、人に頼らず私1人でやりたいことが出来たとき「自由になったな」と感じて、とても幸せな気持ちになれます。1か月前には出来なかった仕事を出来るようになったときなど、自分の成長を感じられる瞬間がとても幸せで、その幸せという感情を通して徐々に自分の意識やステージが向上したのではないかと思います。
自分の能力を高めることで今よりもっと自由を手に出来ると考えて、更なる能力向上を目指して自分自身と戦っていました。
WI:会社を起業するにあたって、何からインスピレ-ションを得られたのでしょうか?
和田さん:インスピレ-ションというほどではないのですが、私自身が家事にすごく困っていました。結婚する以前から私にとっては、「誰が家事をするのか問題」は大きなトピックだったんですね。私は仕事に打ち込みたかったので、家庭を持った際に自分が家事のメイン担当になってしまったら何もかも中途半端な人生になってしまうと恐れていました。
結婚するときには「私は家事ができないのですがそれでもよければ結婚しましょう」と言おうとか、そのために家事の出来る人と結婚しようとかいろいろかんがえていました。
当時私が日本で1番「家事をしないでキャリアを作るにはどうすれば良いか」を考えている女性だったのではないかな(笑)
実際に家事代行サービスを使おうとしたら1時間3500円と値段が高くて頭を抱えていたとき、インターネットの掲示板でで個人の方で家事代行をしてくれる人を探して依頼をしたんですね。なんと1時間1500円程度で依頼することができたんです。
個人間で取引をすることは外国では普通の発想なのですが、日本ではあまりないことに気が付きました。そこでマッチングサイトを作れば、誰でもいつでも気軽に家事代行が依頼できる、ということを思い付いたんです。インスピレーションというよりは、自分が体験して良いと感じたものをもっと使いやすく形にしたという感じですね。インターネット上で仕事を依頼するビジネスモデルは他の業界だとヤフオクにメルカリ、クラウドソーシングなどが有名ですが、家事代行との違いは全てがインターネット上で完結していてリアルに会わない点でした。家事代行のようにリアルで会うとなると、トラブルになった時のリスクが高いですよね。
WI:インターネット上で会った人とリアルで会うのは怖いですよね。
和田さん:ですので、AirbnbやUberといったインターネットで完結しないリアルに会うことがあるビジネスモデルの存在も大きいです。そこで私はAirbnbをお手本にしてタスカジを立ち上げました。
WI:「50歳で起業するのが目標」と記事で拝見したのですが、なぜ50歳を前にしてもう1度起業されたのでしょうか?
和田さん:50歳という年齢に意味があったわけではなくて、ある程度スキルがたまるのは50歳くらいだろうという目安程度でした。38歳くらいの時に、50歳まで待たなくてもいまならできるかも、と自分のスキルに自信をもつことができたんですね。スキルについては起業を視野に入れていたので、専門家と比べれば1つ1つのレベルは低くても幅広いスキルを身につけようと努力していました。
38歳で起業したのは、思いをもって解決したいテーマが見つかったからではありますが、スキルやキャリア面では組織のトップとしてリーダーシップを発揮する経験をしたいといった富士通で会社員をやっていたらなかなか身につけられないスキルを身に着けたかったから。大企業ならでの安定感や居心地の良さはありましたが、私の成長欲求をもっと満たしたくて、起業という選択肢を取りました。
WI:富士通時代に和田さんにとってロールモデルはいらっしゃったのでしょうか?
和田さん:沢山いました。活躍している女性自体少なかったので1人だけと決められなくて、タイミングごとにロールモデルを変えていました。男女関係なく、身近な先輩の尊敬できる点を見つけたら、半年であの人を超えようと目標を設定して努力していましたね。
写真:WOMAN OF THE YEAR2018にて
「座右の銘は“小さくチャレンジ”」
WI:今までで1番の失敗談と乗り越え方を教えて下さい。
和田さん:失敗って、意外と覚えていないんですよね(笑)失敗は必ず次の成功につながっているので、「あのとき失敗してよかった」と思うことの方が多いです。
最初の起業は、しておいて良かった失敗でした。38歳で失敗するよりは20代後半で失敗をしておいた方が私の人生へのダメージは少なかったですし、その後の起業にとても役立ちました。大きなビジネスを背負う前にひっそりと失敗してノウハウを貯めておいた方がいいじゃないですか(笑)
WI:多忙なスケジュールを送られている中で、いつも優しい笑顔を浮かべておられる印象があるのですが、マインドセットはどうされていますか?
和田さん:元々ポジティブ思考ではあるのですが、それでも継続的に前向きでいつづけるのが難しい時もあります。そんなときは意識的に今週の自分の活動を振り返り、「こんなに頑張った」とか「こんなに難しいことを乗り越えられた」とか、自分のことを自分で褒めるようにしています(笑)
あと1年前からコーチングを受けています。コーチングはコーチにサポートしてもらいながら、ひたすら自分と向き合います。重要な意思決定をするときには、コーチングの中で自分の大切にしている価値観に立ち戻ることを意識しています。
WI:座右の銘を教えてください。
和田さん:「小さくチャレンジ」です。リスクを取ることが嫌ではないタイプなのですが、出来れば立ち直れないほどの大きな失敗はしたくないです。
だから、ちょっとだけ試してみた小さな失敗から学んで、必ず次の成功につなげるサイクルを作ることを意識しています。1歩踏み出さないことには失敗も存在しないので、気になったり興味を持つことがあったら必ず1歩踏み出すようにしています。
次回第3弾(家族編)は19日に掲載予定です!お楽しみに!!
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