【取材レポート第3弾】「言語化できるだけが自分らしく生きているってことじゃない」OMOYA Inc.代表取締役社長 猪熊真理子さん
今日は、OMOYA Inc.代表取締役社長の猪熊真理子さんへの取材レポート最終回。
女子未来大学さんでウーマンズメンバーにボランティアする機会も頂いており、ウーマンズと関わりが深く人生経験豊富なお姉ちゃんのような存在の真理子さん。
今回も猪熊さんのポジティブマインド全開で、自分らしさをメインに語って頂きました!
第3弾、最後までどうぞ楽しんでご覧ください!!!
前列左:OMOYA Inc.代表取締役社長の猪熊真理子氏
自分らしさは世界中ただ一つのオリジナル
Women’s Innovation(以下WI):私たちの世代の母親ぐらいまでが専業主婦世代が多いかなと思うのですが、この方に強烈に憧れたという経験とかはありますか?ロールモデルはいらっしゃいますか?
猪熊真理子さん(以下猪熊さん):インスパイアされた方は何人もいます。東女のOGである画家の岡本太郎のパートナーだった岡本敏子さんや、瀬戸内寂聴さん。学生時代にはお二方の本を読んで影響を受けていました。自分の軸があってブレずに、強さと愛がある。そんなお二方に学生時代は憧れていました。
リアルに憧れている方で言うならば、シンクタンク代表の藤沢久美さんや、次回の女子未来大学の京都校で講師として来て下さる京都の京うちわ 小丸屋の女将である住井啓子さん。住井さんは人としてホスピタリティーも思いやりをお持ちで、さらに美意識もあってチャーミング。
女性たちの生き方やライフスタイルが多様化しているので、私は「ロールモデル」のことを、「カスタムキャリア」と呼んでいます。ロールモデルのように一人の人に憧れるのではなくて、1人の女性として憧れるのはこの人、妻として理想の夫婦関係を築いているモデルはこの人、家族、母として人間として憧れる人はこの人のようにハッシュタグをつけて各テーマごとにロールモデルがいていい。それをカスタマイズして理想、憧れ、何を美しいと思ってどう生きたいかという価値観を自らのオリジナルでつくっていく。こういう方がいまの時代に合っているかなって思っているんです。
WI:では女性社長で猪熊さんが尊敬している方、この人を目指して生きたいっていう方はいらっしゃいますか?
猪熊さん:人は絶対自分以外の誰かになれないし、自分以外の誰かになる必要はないので、素敵で尊敬している女性起業家の方はたくさんいるんですが、「この人を目指している」という方はいません。女性は憧れやすくて、憧れの人が前を歩いてくれていて、理想が見えているとヒントや答えを出してくれてるから楽ではあると思うんです。でもそうなれるわけじゃない。もちろんエッセンスやエンパワメントを受ける方はたくさんいらっしゃるけれど、私は未開の地を歩みたいという気持ちも強いんですね。 この人になりたいと思うのは悪い訳じゃない。とはいえ、どこかで冷静に誰かの自分らしさと自分らしさは違う。自分らしさは世界中オリジナルなんです。キャリアとして素晴らしいと思う方はいるけれど、その方になりたいわけではない。みんなそれぞれ理想像ってあるはずだけれど、大学生の時はそこまで考えてなかったかもしれません(笑)
言語化できるだけが自分らしく生きているってことじゃない
WI:自分らしさって人それぞれあると仰っていましたが、猪熊さんらしさや強みは何だと考えられていますか?
猪熊さん:これです。このまんまです。
WI:なるほど(笑)
猪熊さん:めっちゃ困らせてるね(笑)みんな自分らしさを言葉にして説明しようとするよね。
私は自分らしく生きていると思っています。自分らしく生きているし、自分の人生に満足しているし、自分の命を使って生きている。そこになんも嘘偽りもない。でも自分らしく生きているからってそれを言語化できるかっていうのはイコールじゃないと思っているんです。
言語化できるだけが自分らしく生きているってことじゃないと。人間ってもっと複雑で多様な側面があって、かつそんな複雑な要素が互いに関係し合っている。自分らしさを適当に言うことや一部分的に言うことはできるけどね。
例えば見た目と中身のギャップがあるとか。それが私らしさですって言えるけど一側面でしかない。らしさってトータルだから。ギャップと◯◯と◯◯と◯◯が合わさったからオリジナルなんです。だからそこを全て言語化して説明するって難しいと思ってるのね。それよりは私は「自分は自分らしく生きている、働いている、暮らせている」と感じていますか?いまの自分に満足しているかと聞いた方が自分らしく生きているかどうか分かると思います。必ずしも言語化しなきゃいけないのかな?とかね。
WI代表大山:私自分らしくって言葉、ありのままの自分というフレーズを使わないようにしているんです。自分らしさ何って言われても分からない。ただ父の病気があって、「次の瞬間誰が死んでもおかしくないから後悔しないように生きよう」って常に思っているんです。それって私が生を遂げるまで変わらない私の生き方だなあと。いまこの瞬間幸せだって常に思えている自分がいるんです。あの時幸せだったとか戻りたいっていうのはなくて、猪熊さんを見ていると自分らしさを言葉にされているというより、他者に発信されているのが猪熊さんらしさな気がします。
WI:猪熊さんは「意志あるところに道はひらける」という言葉を大々的に掲げられていますが、それは猪熊さんのコンセプトや人生のモットーなのでしょうか?
猪熊さん:人生のモットーではありますが、元々コンセプトにしようとしたわけではありませんでした。自分が信じて体現していることがこれだったからモットーや生き方の信念に変化した感じです。
言葉が先にあって、それにインスパイアされることはいいことですが、他の言葉にも目移りしてしまうと軸が定まらなくなってしまいます。自分がどう生きたいのか考えた時に、自分が体現してきたことを含めて自分のベースが何であったかを考えると、私は「意志あるところに道がひらける」という言葉でしたね。
より良い未来を作りたいと思えば本当にそうなると信じていますし、そのために必要な人に出会えたり、経験をさせてもらえたりできるとも思っています。もし、インスパイアされた言葉が沢山あり、どれか一つに絞りたいと思ったなら、過去の今までの自分に一番フィットする言葉を選ぶといいと思います。自分が経験してきたことや体現してきたことは限られているため、自分にしっくりくるかどうかで言葉を選べば軸を迷うことはありません。
頑張るのをやめて呼吸をするようにやればいい
WIどのようにネットワークを広げたり、信頼関係を構築していますか?
猪熊さん:人付き合いで気を付けている事は「人として誠実であること」です。あとは私自身が相手を肩書で判断せず、一人の人間として自分が出来る期待値以上のことでできるだけ役に立つ努力をするように心掛けています。
でも、誰かと出会うときに覚えてもらうには、キャッチーな肩書があったほうがいいですね。自分が本当にやりたいことを伝えるために魅力的な肩書きをつけてもいいと思います。一方で人脈はその後人間関係が続いていき、信頼関係が構築していかないと、一瞬の花火と何ら変わりはない。しっかり私という人間を知ってもらい、また相手という人間を理解した上でお互いの信頼関係が作れるかどうかはそこから先、出会った後にどのような会話をして、お互いに人間として理解し合っていけるかの問題になります。普通の会話の中にこそ、その人の人間性が出てくるものだと思っています。
私は周りからどう思われているかは私には分からないので気にしていません。私は私が出来るDO MY BESTを尽くしているだけ。結果、それが社会の中にポジティブに受け入れられるか、他者の心の中にネガティブに受け入れられるかは、私にはどうにもできない。分からない事なので気にしていないんです。
WI代表大山:活動を一年以上続けてきて、つまずいたり落ち込んだりしたことも沢山ありましたが、結局最後は「Women’s Innovationの活動を頑張る」という結論に戻っているよね、と友人や家族からよく言われます。そのため、大切なものはWomen’sであるという答えは出ていて、「憧れを追い続けたらそれがゴールになる」という猪熊さんのお言葉を伺い、励まされました。
猪熊さん:「頑張ってやる」という感覚は少し違くて、頑張ってやると別のところにエネルギーを使ってしまうから、頑張るのをやめて呼吸をするようにやればいいんだよ(笑)
私は頑張って女性支援をしているわけではなくて、「目の前に困っている人がいたら、その人のために何かしたい」と思う自然な気持ちから活動を続けています。女子未来大学も、私だけが学びを共有するだけでなく、女性たちと学びをシェアしたいという思いがあります。
頑張って人を助けようとすると、変なお節介にとられることもあるし、自分自身にも無理がきてしまうかもしれない。だから、自然とやれたらいい、自分の中の感覚が一番大切です。無理して行うのではなくて、「自分がやりたいからしているんだ」という感覚がどこまでお腹に落ちているか。
頑張ってやると見返りを期待してしまいやすいもの。例えば、恋愛でも彼氏に過度に期待してしまうと関係がおかしくなってしまうことがありますよね。「好きな人と一緒にいられたら幸せ」と思っていればと、自然とそういうことが少なくなります。これが頑張るか、頑張らないかの大きな違いです。息をするように自然にやるという感覚ですね。
猪熊真理子氏:OMOYA Inc. 代表取締役社長/ 女子未来大学ファウンダー(一社)at Will Work 理事
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