【取材レポート第3弾】「自分がこうありたいから、自分らしくいる」「女性も覚悟が必要」フィンランド出身 坂根シルックさん
最終回の今日は「フィンランド人の価値観や大切にしていること」をメインにお届けします。
最後まで楽しんでご覧ください！
写真中央:フィンランド出身坂根シルックさん
【フィンランド人の価値観や大事にしている3つのこと】
1. 家族と友人と過ごす時間が一番大事
繰り返しになりますが、外食をあまりせず夕食は家で家族と食べます。
日本だと9:00‐17:00で働きますが、フィンランドでは1時間早く8:00‐16:00です。残業もないため、17:00くらいには家族全員で夕飯を食べて、そこで1日の出来事を話します。
2.他人と比較をしない。
人は人、自分は自分で、教師も親も比較しません。それぞれが違って当たり前であって、ありのままの自分を受け入れることを大切にしています。
3.建前で付き合わない。
フィンランド人の間に「建前」の概念がなく、この人に興味ないな、と思ったらその段階で必要以上に付き合いません。日本ではご近所づきあいや、職場のグループなどで建前の付き合いが多く見られますが、どこの段階で本音になるのかが、今でも難しいです。
【日本と似ているところ】
沈黙を好むところですね。しかし、最近の若い人たちは無理して沈黙を破ろうとしているように見えます。
【日本と違うところ】
日本人は人がどう見ているか、をすごく気にしますが、フィンランド人はほとんど気にしません。どう思われていようが自分はこうありたいから、自分らしくいるのが、フィンランド人の考え方です。
Q1.日本で暮らしているシルックさんから見て、フィンランドの制度についていいな、と思うところはありますか?
坂根シルックさん（敬称略）：日本人の女性の友人で、育児休業後 職場に戻った後に、任されていた仕事とは違う部署に回される人を何人も知っています。フィンランドでは子どもが3歳になるまで仕事を休め、その後3年間の間で職場の同じポジションに戻れる保証があるのですが、その制度は大きな安心を与えるものだと思います。
教育について、日本では、足並みそろえて全員で学年が上がっていきますが、フィンランドでは小学校から留年があります。基礎学力がきちんと身についていることを確認してから進学させるようにし、落ちこぼれを作らないところに力を入れています。この考え方も多様性を尊重し、一人ひとりが自分らしく生きることにつながっています。
また、日本では男性社会の中で良くも悪くも女性が特別扱いされることがあると感じます。女性に優しいことがプラスになる部分もありますが、都合がいい時だけそこに逃げてしまうのではなく、社会が対等になるには女性も覚悟が必要だと思います。
Q2.フィンランドでは離婚率が50％ということですが、フィンランド人の女性は経済的自立ができているということですか?
シルック：お財布が別々という理由もありますが、まず結婚に対する考え方が違います。日本は家同士の結婚ですが、フィンランドでは当事者同士の問題です。また、離婚をしても共同親権ということも影響しています。親が離婚しても、離れた親や親戚とは「家族」として関係が続いていきます。家族のかかわり方も日本と違い、いわゆる家庭内離婚が存在しません。本音で付き合うため、みんな我慢せず、ダメだなと思ったら分かれてしまいます。フィンランドでは、どちらかが離婚届を出し、その後引き下げをしなければ、半年後に離婚が成立してしまうのです。
■取材を終えて
植之原：フィンランドへの知識はメディアを通し、ある程度知っているつもりでしたが、シルックさんからのお話はよりリアルで、フィンランド人の人間性も知ることができました。お財布事情が例として挙げられているように、家庭内での役割も男女平等にすることで、社会でも女性が不安などを強く感じずに働けるのだ、と感じました。日本では、「親が子どもに習い事をさせる」という習慣がありますが、小さい頃から「習い事」ではなく、「趣味を楽しむ」ことに時間をかけることで、自分が本当に好きでやりたいことが明確になり、働く際には、好きなことを仕事にできる、のではと考えました。「建前」で人づきあいをせず、自分らしく、大切な人を大切にできるフィンランドの文化、いつか実際にフィンランドに足を運び、フィンランドでの生活を体験してみたいです。
川上：シルックさんが用意してくださったスライドでフィンランドについて詳しく知ることができ、訪れたことのある国ではありましたが、家族のお財布事情など普段は聞くことのできないようなことも伺えて良かったです。途中の質問でも丁寧に答えてくださったので、シルックさんの温かい人柄が伝わりました。今度はシルックさん個人のことも伺ってみたいで
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