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【取材レポート】東京大学大学院総合文化研究科教授 瀬地山 角教授

【取材レポート】

5月15日(火)に東京大学 総合文化研究科

瀬地山角教授に取材させて頂きました。

お忙しい中、貴重な時間をありがとうございました。

Q1 瀬地山さんが出版された、「お笑いジェンダー論」という本に『家事は手伝うのではなく分担する』という言葉がありました。世の中にはまだ『手伝う』という思考が残っている男性が多いと思うのですが、分担という考えはいつ頃から持たれていましたか?

A1 、実際に家事を手伝っていたのは実家にいた高校三年生までです。両親が共働きだったため、時には自分の食べる分くらいは自分で作り、家事をしなければと思っていました。大学生になると、自然と自分のことは自分でしなければいけない状況になるのと、下宿生でお金がなかったので外食を避けて自分でやろうと思うようになりました。

国の調査では未婚の男性と女性のどちらも、専業主婦でいてほしい(なるだろう)と思っている人の割合は、1割前後とかなり低くなります。ところが共働き世帯の男性の平均家事労働時間は1時間未満という結果が出ています。これは女性に対して、家事と仕事どちらもしてほしいという二重負担がのしかかっている表れです。したがってまだ家事の対等な分担ができていないと言わざるを得ないですね。

Q2 日本の女性は自分に自信がないがために自立しづらいように思いますが、女性の自立についてどのようにお考えですか?

A2 そもそも自立しなかったらいざという時に困りませんか?今の社会では3分の1の夫婦が離婚すると言われていて、もし自分が離婚したら、経済的に困ります。

仮に、離婚せず男性も女性も年に500万円稼いだとすると経済的に余裕ができます。例えば片方が学び直したいと思えば、大学院等へ行くことだって可能になります。私は大学院生のとき、自分は研究だけしていれば良いと思っていましたが、同棲していた人とケンカして出ていきたいと思ったとき、お金がないことに気づきました。

そのとき初めて経済的自立の重要さを身をもって知ったと感じています。

Q3 男らしさや女らしさが世の中に多くあふれていますが、日常で特に違和感を感じられることは何でしょうか?

A3. 男だから泣いたらいけないとか、女性なのだからおしとやかにしなさいとか、いまだに言われます。もちろん男性は男性らしく、女性は女性らしく生きる自由はあります。ただ男女の平等とは、平等であるだけでなく男女という性別から自由であることが必要です。男/女らしくある自由、男/女らしくふるまわない自由です。

男女共同参画社会基本法の前文の中に「性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる」社会という文言がありますが、「性別に関わりなく」というのは性別からの自由のことであって、男と女は違うけれども平等、という立場ではないのです。ジェンダー論も男女共同参画社会基本法もこのような異質平等論の立場は取りません。

Q4 ジェンダー論研究者としての瀬地山教授と、父親としてのご自身の間における葛藤はありましたか?

A4 そこが首尾一貫していることがジェンダー論の研究者であるために最も重要なことだと考えています。多くの業績を残せないという面では葛藤かもしれませんが、家庭より仕事を優先していてはこの分野の研究者として失格です。そもそも男女の平等という問題に関わりたいという思いからこのような分野を専門にしているのであって、それを前提にしたうえで、それと矛盾が生じない働き方を選んでいます。

■取材後記

瀬地山教授は、ジェンダーについて考えることで女性が社会に出やすい、また自立しやすい環境を作り出しているのだと感じました。家事を分担することで女性が自立しやすい社会を作っていることが分かりました。男性はまだ家事を手伝っている世帯が多いことに気づき、そのような世帯をどのようにして家事を分担する世帯に変えて女性が社会に出やすい環境を作るのかという案をウーマンズの活動を通して取り組んでいきたいと思いました。 (竹内)

現代社会は男女平等が一つの注目の的となり、女性が社会で活躍できるような制度が増えている一方で、男性は育児休業を取得しにくいと感じるなど、そのような制度を活用できていない男性が多く、男性も制度を活用できるような社会にすることが必要だと思いました。また、様々な講義をされている中で人の頭に残りやすく、人を惹きつけるような話し方をされていてとても楽しく取材させて頂けました。今回の取材を通して学んだことをこれからのウーマンズの活動に生かしていきたいと思いました。(上之山)

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